
| 100 Voices – こころの声を紡ぐ、100の詩
「問いつづけること。それが、私たちのいちばん人間らしい力なのかもしれない」
—— 詩人ライナー・マリア・リルケ『若き詩人への手紙』
私はいま、そんな問いつづける心をかたちにするアートプロジェクトに取り組んでいます。
それが、メンタルヘルスアートプロジェクト “『Who Am I?” by TOMOKO』 です。
このプロジェクトの中で、2021年から展開しているシリーズ、
それが 『100 Voices』 です。
このシリーズでは、100人分の心の対話(mental dialogue)”=内なる声のモノローグを、
詩・映像・写真という3つの表現で描き出しています。
| それぞれの声、それぞれの物語
登場する声はすべてフィクションですが、実際の対話やインタビュー、自身の経験、そして匿名で寄せられた声やメッセージからインスパイアを得て、
さまざまな感情、背景、瞬間を丁寧に紡ぎ、生まれています。
心理学では、人は物語を通して自分自身を理解すると言われています(Narrative Psychology, Bruner, 1990)。
『100 Voices』もまた、見る人それぞれが自分の感情と向き合う「鏡」となるように編まれています。
個々の作品はひとりの物語を描いていますが、全体を通して眺めると、
それはまるで、ひとつの心のタペストリーのよう。
多様な心のかけらが、共鳴するシンフォニーのように響き合います。
| 展示と対話の体験として(2021年 東京)
シリーズの初期作品は、2021年に東京・ABGギャラリーで展示されました。
テーマは、
「色のない世界で、あなたは何を想像しますか?」
「情報があふれる社会で、何を感じ、何を信じますか?」
油絵にも使われるキャンバス地にプリントされたモノクロ写真が並ぶ空間。
写真の前に立ち、スマートフォンをかざすと、詩と音と映像が静かに重なり、
来場者の内なる感情にそっと触れ、まるで心の奥をノックするような体験へと導いてくれるよう設計しました。
来場者は自分のタイミング、自分の感性で作品に触れ、
まるで自分の心のなかを旅するような、静かな内なる対話の体験を持ち帰ってくれました。
| 五感で感じる、「想像する力」と想像することのよろこび
展示空間では、心音(heartbeat)と胎動の音(fetal movement)を背景に流し、
視覚・聴覚・嗅覚・言葉が重なるよう体験設計を行いました。
知識や情報のフィルターを一度外し、ただ感じるということ。
この感覚を通して内面に触れるという体験は、
現代の心理療法でも注目されている
メンタライゼーション(mentalization)=他者や自分の内面状態を想像する力の考えと深く結びついています。
また、展示空間の奥には海・空・大地の映像を壁面に投影し、
来場者自身が「自分の心」と対話できる内省、瞑想に浸れるスペースを用意しました。
| プロジェクトテーマ曲 『“Who Am I?”』——感情と香りの記憶をたどる
オープニングイベントでは、プロジェクトテーマ曲 『“Who Am I?”』 を初公開。
心の奥底の言葉にならない感情が音とともに満ちていき、
音と言葉のあいだに生まれた静かな余白を来場者とそっと分かち合いました。
また来場者には、展示中に焚いたアロマと同じ香りのアロマオイルとメッセージカードをギフトとしてお渡ししました。
香りは記憶の鍵ともいわれます。
展示の時間を日常に持ち帰ってもらいたくて、
その香りがふとした瞬間に自分を見つめる時間を呼び起こしてくれるよう願いを込めました。
これは、香りが記憶の引き金になるという神経科学的研究(Herz & Engen, 1996)に基づいた試みです。
香りがふとした日常の瞬間にあの展示空間=自分の心と向き合った時間を呼び戻してくれることを願って。
| 現在はケベックで構想を広げています
2025年秋、私はカナダ・ケベック州ケベックシティに滞在中。
この街の静けさ、自然、そして英語とフランス語が交差する詩的な空気に触れながら、
新しい声や詩の着想を受けとっています。
この地で出会った空気や孤独感、気づきもまた、
『100 Voices』の物語に新たな声として紡がれていく予定です。
| 最後に
心の声には、言葉にならない音色があります。
そのかすかな響きを、詩とアートでそっとすくいとって、
見知らぬ誰かと分かち合う。
『100 Voices』 は、そんなプロジェクトです。
どこかであなたにも響く「声」がありますように。
✍ TOMOKO|Mental Health × Art × Self Care
📍Currently in Quebec City, Canada
|アーカイブ映像(2021|Tokyo)— 『100 Voices』 のはじまり
2021年・東京の展示で流した短い予告。
『100 Voices』のはじまりの呼吸。
Instagramでは、詩と写真で 「こころがほどける瞬間」 と、
そっと心に届く小さな気づきを綴っています。
❖ サポートとご支援のお願い ❖
私たちのInstagramや
YouTubeでは、プロジェクトや特別な瞬間を共有しています。
フォロー、いいね、シェアで、私たちのメッセージを広めるご協力をお願いします。
寄付を通じて、誰かの心にそっと寄り添う私たちのアート制作と活動の力になります。
その力がメンタルヘルスコミュニティをより強固にし、心の健康が身体的健康と同じくらい日常的な会話のトピックとなる社会へと繋がる一歩になります。
ご支援方法はこちらから、
プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。
一人ひとりのサポートが、心の健康支援の未来を創ります。
温かいご支援をお待ちしております🌙
